サッカーワールドカップとフードデリバリー配達員
サッカーワールドカップが始まると、日本中が熱狂します。
テレビの前で応援する人、スポーツバーで観戦する人、家族や友人と盛り上がる人。それぞれの楽しみ方がありますが、僕はフードデリバリーを生業にするようになってから、ワールドカップをゆっくりテレビ観戦することがほとんどなくなりました。
前回の2022年カタールワールドカップも、実は日本代表の試合を一度もリアルタイムで観戦していません。
その時間も、僕はいつも通り街を走り、料理を届け続けていました。
ワールドカップ期間中は本当にオファーが増える
フードデリバリーを長く続けていると、さまざまなイベントが注文数に影響することがわかります。
大雨の日。
台風の日。
大型連休。
年末年始。
そしてスポーツイベントです。
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)やオリンピックも多少の影響がありますが、その中でもサッカーワールドカップは別格だと感じています。

日本代表戦がある日は、とにかくオファーが増えます。
観戦しながら食事を楽しみたい人が増えることも理由でしょう。
しかし、それ以上に大きいのは配達員側の供給が減ることなのかもしれません。
自宅で観戦する人もいるでしょうし、仕事を早めに切り上げる人もいるでしょう。
その結果、街には注文があふれ、走り続ける配達員には次々とオファーが入ってきます。
ワールドカップ期間中は街の空気で結果がわかる
テレビを見ていなくても、不思議と試合結果はわかります。
オファーの入り方。
街を歩く人の様子。
駅前の雰囲気。
そういったものが大きく変わるからです。
特に印象に残っているのはドイツ戦とコスタリカ戦でした。
ドイツ戦の日に感じた異変
初戦のドイツ戦も忘れられません。
日本時間22時キックオフ。
当時の僕はいつも通り稼働していました。
試合中も注文は多かったのですが、本当に不思議だったのは試合終了後です。
普通なら深夜に向かうにつれてオファーは減っていきます。
ところがその日は違いました。
むしろ尻上がりに注文が増えていくのです。
試合終了時間を過ぎても勢いが落ちない。
街の空気もどこか明るい。
騒がしい。
活気がある。
その時、僕は確信しました。

実際に稼働後に結果を確認すると、日本はドイツに2対1で逆転勝利。
あの歴史的な勝利でした。
テレビを観ていなくても、街の雰囲気だけで結果が伝わってきたのです。

コスタリカ戦の日は空気が違った
一方で、第二戦のコスタリカ戦はまったく違いました。
ドイツに勝利した直後ということもあり、日本中の期待は最高潮。
僕自身も注文がさらに増えるだろうと予想していました。
しかし実際は違いました。
試合中は忙しい。
それは確かです。
ところがドイツ戦の時のような勢いがありません。
時間が経つにつれてオファーは減少。
街も静か。
そして気づけばオファーが止まりました。
本八幡の街もどこか重たい空気に包まれていました。
僕は試合を観ていません。
それでも、

と思いました。

稼働終了後に結果を確認すると、日本はコスタリカに敗戦。
その時は驚きました。
テレビを観ていないのに、街の空気だけで結果がわかってしまったからです。
ドーハの悲劇を見ていた自分
僕は若い頃、ドーハの悲劇をテレビで見ていました。
そしてフランスワールドカップ最終予選。
岡野雅行選手の決勝ゴールも生中継で観ていました。
あの頃は、試合の日にはテレビの前に座り、日本代表を応援していました。
それが今では、フードデリバリー配達員として街を走っています。
人生というのは不思議なものです。
立場は変わりました。
生活も変わりました。
でも、日本代表を応援する気持ちは昔と変わりません。
今回のワールドカップも街を走る
今回のワールドカップも、おそらく僕はテレビ観戦をしません。
日本戦の時間も、いつも通り配達をしていると思います。
料理を待っている人がいる。
届けることを仕事にしている。
だから、その時間は街を走ります。
試合結果はリアルタイムでは見られません。
それでも大丈夫です。
街の空気を感じれば、きっとわかります。
オファーの勢い。
人々の表情。
街のざわめき。
あるいは静けさ。
それらが日本代表の結果を教えてくれるでしょう。
今回のワールドカップでも、僕は配達員として、そして一人のサッカーファンとして、その特別な時間を街の中で感じてみたいと思います。

